唯一気に食わないところ

私は沖縄が好きだ!

よくみんなが語る、青い海、白い砂浜、照りつける太陽なんかも、

もちろん好きだけれど、

赤ん坊をあやすお母さんの優しく甘い言葉、

パーラーで食べる100円そばのスープの味、

生ぬるい風にたなびく街路樹の葉の姿、みたいな素朴な面も好きだ。

それから、梅雨時の存分に湿気を含んだカビ臭いタンスのにおいや、

地面を勢いよく這いつくばるヒーラー(ゴキブリ)や、

どんよりとした曇り空の下吹きつける冬の北風も、

まあ...好き...というほどではないが、嫌いではない。

詰まるところ冒頭に戻ってしまうが、全部好きなんです。愛してしまったんです、沖縄を。

しかし、ただ一点どうしても気に喰わないところもある。

それは「深い闇」だ。

昼間の強い日差しのまぶしさも午後には陰りはじめ、夕日の沈みゆく姿と共に辺り一面は闇に包まれていく。

ひんやりとしたそれは、モノの持つ輝きと存在を見事に溶かし、

生き物たちに落ち着きと休息を取ることを促す。

そうやって静寂を湛えながら、深い闇の中で世界は眠りに就き始める。

その何が問題かって?

撮影ですよ。撮影。

カメラはピントのボケた駄像を連発し、

ビデオカメラのオートフォーカスはうつろな目で辺りをさまよう。

しかし探偵はそんな真っ暗な夜でも対象者をきちんと撮影し映像に残さなければいけない重大な責務を任せられているんです。

探偵の見習いをしている当時、この闇に何度泣かされたことか分かりません。

せっかく撮影したと思ったら、画面に映るのは黒いノイズだらけの恨めしい闇ばかり...

しかし、ここであきらめてはいられない。

そうしている間にも真実を知りたい依頼者の方々が苦痛と戦っているんです。

私はあらゆる方面から情報を入手し、暗さに強い映像機器について日夜研究しました。

日本では販売されていない海外の暗視用の製品を入手し、

暗さに強くするために、その製品にさらなる改造を加え、

闇に溶け込むようにオールブラックに塗装を施し、

人間の肉眼以上に暗闇に強いビデオカメラ「JUSTICE暗闇スペシャル」の出来あがり。

このビデオカメラのおかげで、

対象者が暗闇の中でガサゴソと何をしようとも、キッチリ映像として捉えられるようになったのです。

このビデオカメラや、熱心に調査をするスタッフ達の努力の甲斐もあってか、おかげさまで開業以来、これまで行った調査すべてに成功しており、

ご依頼された方々全員に喜んでいただいております。

今後も、ビデオカメラをはじめとした機材や各種の調査手法の研究を進めてゆき、

依頼者が満足できる調査が出来るよう日々邁進している沖縄JUSTICE探偵事務所の今日このごろなのでありました。

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